2010-05-09

『犬と猫と人間と』を観てきました

post at 20:11 on 2010-05-09

うまく仕事とタイミングが合ったので、埼玉県越谷市で開かれた自主上映会に行ってきました。300人以上入る小ホールに、観客はだいたい150人くらいだったでしょうか。入場料は900円+カンパ100円で1,000円でした。

まず一言目の感想として、非常にきまじめに、またフェアに(公平に)作られているドキュメンタリー映画でした。それはおそらく監督の飯田基晴さん自身の資質によるところが大きく、監督自身が務める訥々(とつとつ)としたナレーションや、ときおり映画のなかに登場するときの彼のインタビューにも、よく表われています。決して感情的になることなく、しかし執拗に、いぬ・ねこの殺処分を取り巻く現状と、それにかかわるひとびとの営みを映し出していきます。

いぬやねこの愛くるしい表情やしぐさでときおり緩和されるとはいえ、随所に重たいシーンは出てきます。上映会場ではすすり泣きをしてハンカチで目頭を押さえるひとも少なからずいらっしゃいましたし、さるねこ父自身、けっこう泣きそうになりました。

……が、しかし、です。ほかの人はさておき、わたしの場合、それは悲しいから泣きそうになったのではなかったです。自分でもうまく分析できませんが、怒りとか悔しさとかが涙腺に作用したような気がします。だから、感情に流されて涙腺がオーバーすることはなく、比較的すぐに堪えることが可能(あくまで個人的な感想ですが)。

そもそも、この映画は「感情に訴えかける」ようには作られていません。

かわいいですか?
それとも
かわいそうですか?

これは、映画の宣伝ちらし裏面のトップに掲げられているコピーです(ちらしは、長崎で行なわれている譲渡会でも配っていますし、長崎市動物管理センターやいくつかの長崎の動物病院などにも置かせていただいています)。映画に登場するいぬやねこは確かに「かわいい」し、人間に見捨てられて殺処分を待ついぬ・ねこたちはとても「かわいそう」に思えます。だったら、「かわいい?」──YES、「かわいそう?」──YES、ってことなのだろうか?

わたしがこの映画から受けとめたメッセージは、実は「どちらもNO」だ、ということです。もちろんそれは、「かわいくもないし、かわいそうでもない」ということではありません。「かわいい」とか「かわいそう」という《感情》では、決して殺処分は減らせない、という意味です。

殺処分が「よいこと」と思っているひとは、ふつう世の中にはいないはずです。動物愛護活動にかかわるひとは言うに及ばず、動物管理センターで処分機のスイッチを入れる担当者も、センターにいぬ・ねこを持ち込む当の本人ですら、「よいこと」と思っているとは思えない。どこかに「よくないこと」「後ろめたいこと」「やむにやまれぬこと」という葛藤に似た感情を抱えている。「そうしなくて済むなら、それに越したことはない」とおそらくみんな思っている。そして「自分は関係ないけど……」と感じる大多数の人は、「こんなかわいいいぬやねこに、どうしてそんなかわいそうなことを……」と思うはず。

そんな「殺処分」という、だれもやりたくないこと、当たり前に考えればやれるはずのないことが、今わたしたちの周りで現実に行なわれている。映画の冒頭では国内でその数年間35万頭という数字が挙げられます。それを減らす・なくすためには、「かわいい」とか「かわいそう」という《感情》は、おそらくあまり役に立たない。それだけではきっと、前に進めない。

じゃあ、なにが必要なんだろう? 一時的な《感情》を乗り越えるにはどうすればいいんだろう? そして、どういう将来の理想を描けばいいんだろう? そのための手がかりは、映画をじっくりと観ていくことでつかめる、と思います。長崎近辺にお住まいの方は、どうぞ、7月19日の上映会に足を運んでみて下さい。そのほかの地域にお住まいの方、こちらに公式の「自主上映会情報」のスケジュールが掲載されています。

そして、もうAmazonなどにも商品ページが作られているので隠さずに書いてしまいますが、6月26日に『犬と猫と人間と』DVDが発売される予定です。数日前に、ながさき自主上映会の前に発売されてしまうのを知ったときはちょっとショックでしたが(苦笑)。

それでも上映会でご覧いただくことのメリットをいくつか挙げてみます。

  1. DVDを購入するよりは安い(前売券は600円)
  2. 大きなスクリーン(200インチ)で上映される
  3. Blu-rayで上映されるのでDVDより画質がよいはず(市立図書館の上映システムにもよるので確認してみます、今日の越谷では明らかにきれいでした)
  4. 映画を一緒に観たひとたちとの交流・コミュニケーションが可能

さるねこ父は、4が一番重要だと思います。上に書いた「そのための手がかり」を得るためには、ひとりで(家族で)部屋にこもって観るよりはずっと、「みんなで」観た方がいい。「ほんと?」と思われた方は、たとえば、Yahoo! 映画の『犬と猫と人間と』のユーザーレビューを読んでみてください。ほとんどすべてのレビューが、それを読んでいるあなたに何か語りかけようとしているはず。そうしたくなる映画なのだ、と観て感じましたし、監督の意図として「そうさせたい映画」なのではないか、とも思いました。

そんなわけで、周りの方も誘って、どうぞ7月19日長崎市立図書館多目的ホールでの自主上映会にお越しください。実は、いぬ・ねこ好きでもなんでもない、普通の方にこそ観ていただきたい映画です。

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